ペーチン屋 | 日記 | 本当にありがとうございました

沖縄の昔ながらの那覇のお饅頭「天妃前まんじゅう」のお店です はったい粉の餡が特徴です♪

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ペーチン屋 の日記

本当にありがとうございました

2025.03.27

おかげ様で22日に最後の営業を終える事ができました。
この投稿では思っている事感じた事を正直に綴っていきたいと思います。

私は三人兄弟の末っ子に生まれ、小さい頃は人見知りで母の後ろに隠れているような子でした。
その分母のやる事を身近でよく見ていたと思います。
4歳ぐらいか祖母と母が皮とあんこをテーブルに置きせっせと包んでいる側で私は容器に小麦粉を入れて練って見よう見まねで作ったりしていたのをよく覚えています。
(母に材料を無駄にしたのを怒られたりしてました笑)
うちの祖母も母も本当に働き者で、農連に卸している時は、小学生の母の日の作文に「うちの母はいつ寝ているか分からない」と書いたほどでした。

私が小学生高学年頃に近所に大きいスーパーが出来始め、祖母がお饅頭をやりながらやっていた商店を饅頭屋にリフォームしました。
母が店内のメニューや店内の内装を考えているのがとても楽しそうなのが印象的でした。

私が高校の卒業間際に母が病を患い、間もなくして祖母が脳梗塞で倒れ、看病と介護をしながら姉と饅頭を作りました。
母は病気の中「ごめんね。お母さんが元気になったらお祖母ちゃんの事もお店の事もやるからね。」と謝りながら「この仕事ほど大変な事はない。子供に継がせたくない。」と言っていました。

私はあの時凄く必死で、お店の収入だけでは家計は保てなかったので、高校を卒業してからは外に働いていて、朝は祖母に朝食をあげて出勤し、日中は姉がお店を見て、仕事が終われば夕飯をあげにまた祖母の病院へ通い、その後夜お饅頭の仕込みをする。休みの日はおばあちゃんのお風呂に入れに病院への日々でした。

そんな中母が亡くなった時はあまりにショックで…辛すぎて当時の記憶が曖昧ですが…母の初七日が終わったぐらいに百貨店の方が注文の依頼にきた時はそれを受けたり、お店を休んだりしながらもまた徐々に始めていったと思います。

その後、結婚し育児と父の介護をしながら移りゆく生活とともにペーチン屋の営業を頑張ってきました。
若い時は「どうして私はこんなに苦労して」という思いも正直ありましたが、子育てや介護をしながらやっている中でこの仕事の有り難さを物凄く感じました。
「ただ作るだけなら誰でも出来る。今の私だから有り難さが仕事の丁寧さに繋がる。」こう感じるようになったのは30歳になった頃。
ずっと祖母と母の背中を追いかけていたけれど「私は私らしいペーチン屋を足していけばいいんじゃないか」と気づいたのもこの頃でした。

父が亡くなってしばらくしてコロナ禍になり、それが終わった後は物価高で更にお客様の数が減り…材料が高沸する中一生懸命作った商品達は毎日廃棄でした。
日持ちするようにした方がいいのか等沢山考えましたが「美味しいものを美味しいうちに食べて欲しい」という思いは変えたくなかった。
いつかこの状況が落ち着いたらと思っていたのですが、ほとんどの機材が限界を迎え作り続けるのが厳しい現状に踏ん張る事ができませんでした。

正直、うちのお店はもともと世間が思っているほどは売れてはなくて「よく閉まってる」「早く売り切れる」という噂が中々払拭できなかった。
SNSをやり始めたのは「今日も元気に営業してますよ」」を知ってほしいのとペーチン屋ってこんなお店ですよを発信できたらいいなと始めました。

12月の琉球新報さんに閉店のお知らせが載ってから噂の通り「早く売り切れる」状態になりました。

私自身「閉店」がこんなに大きな事になるとは思っていなくて、ひっそりと終わっていくと思っていました。

本当に沢山のお客様にご来店いただきました。こんなに沢山のお饅頭を作ったのは人生初でした。
沢山のお客様にお礼を述べることができました。ありがとうございます。

母が「継がせたくない」と言ったお店を気がつけば30年やってきた。
言わばこれは私の我儘です。
私の我儘を30年お客様に支えて頂きました。こんなに幸せな事はない。
ペーチン屋はとても幸せな饅頭屋でした。
本当に本当にありがとうございました。
深く感謝いたします。

今回お客様から沢山の思い出の話、お饅頭への思いを聞くことができました。
中には話すのも辛かったであろうお客様も…私の作ったお饅頭が誰かの支えになっていた、存在の大きさと気持ちを知れて良かった。話してくれてありがとうございます。
私が思っていた以上にお客様はお店を見守ってくれていました。

皆さんの思いをしっかりと受け止め、こんなにも愛されていた事に感謝しながらこの閉店後の4日間を過ごしてきました。

現実的に厳しい事だらけで、閉店を決める前にも助成金や資金等を手を尽くして考えて閉店と至ったので、色んな感情が混ざりあっています…

でも正直いつかまた私が作ることができるだろうかと淡い期待が私の中に少しあるのも事実です。

とても我儘な事を言っていると思うのですが…その「いつか」の為にこのアカウントはそのままでいようと思います。

今は少し人生のお休みをもらいながら日常を過ごしゆっくり色んな事を考えていきたいと思います。

つたない文章ですが、今の私の気持ちと感謝を綴りたく投稿いたしました。
今まで本当にありがとうございました。

ペーチン屋 新城佑子

本当にありがとうございました

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